2010年08月13日

オカリナのためのコンベンション

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 この作品は、インストラクション(注釈書)のみで記されている。

 どんな設定で、誰と何を話し合うか、という“ルール”があるだけだ。

 子どもから高齢者まで、オカリナを初めて奏するひとも、現代音楽って何?というひとまで、誰もが演奏に加われることが特徴だ。

 要は、遠方から中央(ステージなど)に集まり、語り合い(応答)、また遠方に帰って行く、という簡単な設定があるだけだ。その語り合いも、超絶技巧に聞こえるが、実際は両手の指を「早く動かす」だけだ。オカリナの穴を不規則に開けたり、押さえたりしていることになる。その動作は相手の会話に相づち打つようになっているから、モニョモニョ語の会話は、ちょうど“小鳥たち”の会話のようにも聞こえる。

 サンプルとして・・・会場の外で、全員が会場を囲むようにして始まる。聞こえる相手の音に“ハウリング”(音が溶けずにぶつかり、ビリビリ響く)するように、近づく仲間のお互いの音を聴き合い、自分の存在も確認して、中央に歩んで行く。ドアを開け、演奏者は順次中央に集まっていく。[会場で聴いていると、電線に風が当たるようなヒューヒューとした音に]

 ステージなどの中央に集まると、任意の組み合わせによる、仲間たちの会話(会議)が始まる。ピピピチピチュピチュピッピッピヨピチョ、そこかしこで対話が行われる。[真に小鳥たちの会話に聞こえる] そして合議に達して、三々五々元の場所へ帰っていく・・・
 
 ここでは「みんなと合わせる」(同じことを、各自の持っている技量に合わせて)こと、自分の音が相手と「交流」できること、そしてルールに従った時間や方法により、個性的な「会話」が楽しめること、などが音楽の構造を支えている。人数は任意だが、30名ほどの参加を想定した。

 再演がある山寺で行われた。演奏が始まると、竹林がそよぎ、鳥が鳴き、自然と一体になった奇妙な世界が沸き起こった、ということだ。
posted by 坪能克裕 at 00:00| 作曲